進化したのはサウンド?付属品?それだけではない。水月雨(MOONDROP)LAN2-蘭2  REF/POP レビュー - Review

水月雨(MOONDROP) LAN2-蘭2  REF/POP


ここでは25年9月に購入したLAN2-蘭2  REF/POP(以下LAN2
 を紹介します。
前世代のLAN、上位機種のAria2と比較をします。
良ければ最後まで見てみてください。

【環境】
DAC:Meishun Audio(美顺音响)DAC320
AMP:Leaf audio(叶音)PA-05 20W/32Ω

黒パッケージがLAN2-POP、白パッケージがLAN2-REF

 

・製品について
LAN2 REF/POPは水月雨から299元で発売されているシングルダイナミックドライバーのイヤホンである。
水月雨Japan公式Amazonからも販売する。
LAN2は水月雨の過去製品であるLANの後継機種であり、
前世代のLANとは違い、REFとPOP二つのバージョンがラインナップされている。

  • 感度: 118dB/Vrms(@1kHz)
  • インピーダンス: 30Ω ±15%(@1kHz)
  • 周波数範囲: 12Hz-60kHz(IEC61094)
  • 有効周波数範囲:20Hz-20kHz(IEC60318-4, -3dB)
  • ネクター: 0.78-2pin
  • THD+N: THD≤0.08%(@1kHz, 94dB)
  • ケーブルプラグ: 4.4mm
  • 重量:片側9g

LAN2に搭載されたドライバーは、
新しいガラスドーム複合振動板が採用されている。
厚さわずか0.05mmのソリッドガラスドームは、
高精度な金型と精密なガラス加工技術によって成形され、
極めて高いヤング率と優れた内部損失係数を備えている。
これにより、従来の振動板では実現が難しい高域の伸びと解像度を実現しており、
このガラスドームの特性に合わせて調整された柔軟なエッジは、
振動板のサスペンションシステム全体を支えるとともに、
よりリニアなロングストローク変位性能を発揮。
同心円状に配列された2枚のN52磁石による内外複合型磁気回路は、
有限要素解析(FEA)を駆使して磁束分布を最適化。
磁気ギャップにおいては1テスラを超える高密度かつ均一で対称的な磁束密度を実現し、
これによりボイスコイルは極めて高効率かつ安定的に振動板を駆動させ、
広いダイナミックレンジと優れたレスポンスを両立した高精度な音再生を可能。

 

・付属品

・本体

・高純度無酸素銅ケーブル

・4.4mm⇒3.5mm変換アダプター

・レザーケース

・標準イヤーピース(S、M、L)

・ユーザーマニュアル

・ 証明書

・サービスカード

 

相変わらず水月雨の化粧箱は良い。
どちらのバージョンも付属品は変わらない。
高純度無酸素銅ケーブル (4.4mmバランス端子)が標準で付属。
加えて3.5mmへの変換ケーブルも同封されている。
実は付属のイヤーピースが新しくなっている。
水月雨の通常のグレーのイヤーチップよりもフィット感が良く、
サイズの大中小が一目で分かるようにゴム部分に色がついている。

画像はLAN2 REF

画像

 

・外観

LAN2は前世代のLANと同じく、
MIM製法(金属粉末射出成形法)のステンレススチールハウジングを用いており、
頑丈でコンパクトな筐体と仕上がっている。
なお、前世代のLANは中国春蘭が印刷?されていたが、
LAN2からは春蘭が刻印されている。
POPとREFの見分け方はこの刻印とパッケージでしか見分けられず、
両方持ってる方は刻印パターンを覚える必要がある。

 

・装着感
片側9gと比較的重い筐体であるが、適切なイヤーピースを使えば、
フィット感は良好である。
人によっては耳とシェル部分が触れることもあるので、一度試聴したほうが良い。

 

サウンド
春蘭を感じろ...

REF verのチューニングはいつもの水月雨で、
どの帯域もバランスの良い
ニュートラル寄りの音色でありながら、
前世代のLANが持つ、若干硬く、冷たいイメージを継承している。
基本的には前世代のLANと大幅にチューニングは変わってないように感じる。
水月雨らしいサウンドはそのままに、前世代と比べてよりクリアに、
空気感のある音色となっている。

POP verのチューニングは名前のとおり明確にポップス向けなチューニングであり、
REF verと比べ低音域が強く、量感がある。
中低音域が強化されたおかげで、ボーカルの厚みと豊かさはREFよりも優れている。
また中低音域が強化された影響で、REF verと比べても全体的に暖かみのある音色となっている。

 

・低音域
REF verの低音域は水月雨らしく若干不足気味で、
多くの人にとっては弱いと感じるだろう。
量感は控えめながらぼやけることがなく、輪郭のはっきりした低音域だ。

POP verの低音域は明らかに量感が増し、音に厚みを持たせてくれる。
強化された低音域は中音域のボーカルを支えてくれる。

 

・中音域
REF ver、POP verともにボーカルは適度に前に出て、
自然で明瞭な存在感を持つ。
POP verは若干の温かみのある音色があり、
より女性ボーカルが引き立つように感じる。
どちらも水月雨らしいボーカルメインで聴かせてくれる。

 

・高音域

REF ver、POP verともに前世代のLANと同じく、
全体的な明るさは抑えつつ自然的な響きを出す、非常にバランスの取れた高音域だ。
シンバルや弦楽器の細やかな余韻をしっかりと描き出し、
長時間のリスニングでも耳に優しい音色を授けてくれる。

 

サウンドステージ

REF ver、POP verともに前世代のLANと比べて若干広く感じるが、
後述のAria2等と比べると狭く感じる。
どちらもボーカルと楽器の分離感はよいが、
中低音域が強いPOPと比べてREFのほうが分離感は良いと感じた。

 

・解像度
前世代から一番性能向上を感じた部分である。
REF ver、POP verともに前世代のLANと比べて明らかにクリアだ。
どの音域も輪郭がはっきりと表現され、
繊細な音までしっかりと聴き取ることが可能だ。
この解像度はAria2を超えていると感じる。

 

前世代のLANからの変更点はこう見るとかなり感じる。
聴く楽曲によってそれぞれ異なるバージョンを選べる点は大いにメリットだ。
もちろん聴くジャンルによるが、
個人的にはPOP verのほうがどのジャンルもオールマイティに聴きやすい音色なので、
どちらか一方を選ぶならPOP verを選ぶ。
画像

 

・他機種との比較について

※全てLAN2付属ケーブル、LAN2イヤーピースで統一

水月雨 LAN
LANはLAN2の前世代の機種となり、筐体の加工方法はほぼ同じものだ。
ただし、ドライバーはベリリウムドライバーから、
ガラスドーム複合振動板ダイナミックドライバーに変更されている。
LANのイメージである、冷たくクールな雰囲気はしっかりと継承されており、
POP verが出たおかげでよりポップスに向いたチューニングに変更されている。
先に述べた通り、REF ver、POP verともに前世代のLANと比べて、
解像度の向上、音場の広さ、チューニングの選択肢が増えたことにより、
2という名に恥じないと感じた。


②水月雨 Aria2
水月雨のAriaシリーズの後継機種。
ミドルレンジの価格帯ながら手軽に水月サウンドを楽しめるのが特徴。
LAN2とは約1.5倍の価格差があるが、解像度だけで見ればLAN2のほうが良いと感じる。
空間表現はAria2のほうが広く、より繊細に表現できている。
特にLAN2 POP verはAria2のチューニングと近く、
かなり肉薄していると感じた。

 

・不満点
どちらがPOPでどちらがREFか分かりづらい。
両方を購入する人はそうそう居ないと思うが、筐体には何も書かれておらず、
見分け方はFPの刻印の違いだけだ。

 

・結論

LAN2 REF、POP verのサウンドは非常に高い解像度と自然なチューニングだ。
POP verは中低音域を強化しポップス、特に電子音楽に適している。
どちらも同じドライバーを使用しているが、基本的には中低音域に差がある。
前世代のLANユーザーやChu2ユーザーにとって、LAN2はアップデートとして申し分ない。
解像度においてAria2以上と感じ、水月雨の中だとコストパフォーマンスは高め。
REFとPOPという2つの異なるチューニング方式を採用することで、
ユーザー個々の様々なニーズに答えてくれる。

単なるアップデートだけでなく、拡張されたラインナップと進化したサウンドと外観。
LAN2は水月雨の新しいエントリーモデルとして素晴らしい製品だと思う。

7年間の集大成であり、フィナーレの名に相応しいイヤホン 水月雨(MOONDROP) 終章 -Kadenz- Review

水月雨(MOONDROP) Kadenz-終章


ここでは2024年に購入したKadenz-終章(以下Kadenz
 を紹介します。
前世代のKATO、同価格帯のStarlight、定番のAria2と比較をします。
良ければ最後まで見てみてください。

【環境】
DAC:Meishun Audio(美顺音响)DAC320
AMP:Leaf audio(叶音)PA-05 20W/32Ω

 

・製品について
Kadenzは水月雨から26,640円で発売されているシングルダイナミックドライバーのイヤホンである。
Kadenzは水月雨の過去製品であるKXXSやKATOといった製品の後継機種であり、
それらの頭文字をとったKシリーズ最後の製品である。

Kシリーズの始まりは2018年。
中国で初めてDLC振動板を採用した、KanasとKanas Pro Editionが初出である。
その後すぐ翌年にはKanas Pro Editionのアップグレード版として、
水月雨の代表作品である、KXXSが発表された。
(KXXSの前にAmadeusという試作品があったが、KXXSのほうが良いと判断され発売された)
そして2021年。水月雨と言えばこの製品、KATOを発表。
KATOはKXXSをベースに、より成熟したチューニングと製造技術で人気を博した。
名前は有名なライトノベル冴えない彼女の育てかた』のメインヒロインである加藤恵KXXSから取っている。
KXXS Advanced Technology Optimized)

そこから3年の月日がたち、ついにKシリーズのフィナーレを飾る製品が登場した。
それがKadenz-終章である。

  • 感度: 122dB/Vrms(@1kHz)
  • インピーダンス: 35Ω ±15%(@1kHz)
  • 周波数範囲: 8Hz-21kHz(IEC61094)
  • 有効周波数範囲:20Hz-20kHz(IEC60318-4, -3dB)
  • ネクター: 0.78-2pin
  • THD+N: THD≤0.3%(@1kHz, 94dB)
  • ケーブルプラグ: 4.4mm
  • 重量:片側12.6g

Kadenzに搭載されたドライバーは、これまでの設計経験に基づき改良された、
ULT-Gen2超線形10mmダイナミックドライバーを搭載。
新たに設計された磁気回路は、FEA有限要素解析とトポロジー最適化手法、
異なる振動エリアに対応するための気圧バランス構造も組み込まれている。
また、独自のドーム型ベントは、振動板内側の高周波定在波を抑制し、
振動板とボイスコイルを保護する役割を果たす。
前世代から継承された一体型真鍮チャンバーと、
高周波の位相干渉を抑制する構造に加え、
新しい振動板であるta-Cダイヤモンドコーティング振動板を搭載。
特殊合金材料を用いた磁導構造、N55磁石の採用など、
さまざまな新設計、材料、技術を確立された技術と組み合わせることで、
従来のDLC振動版よりも優れた剛性と内部減衰特性を実現し、
より強力なダイナミクス性能とさらに高い解像度を実現させた。

Moondrop | 水月雨 (MOONDROP) (スイゲツアメ ムーンドロップ)


・付属品

・本体

・Kadenzオリジナルの4.4mmケーブル

・4.4mm⇒3.5mm変換アダプター

・Type-C DAC「ECHO-B」

・交換ノズル(3組)

・レザーケース
・布ポーチ

・清泉シリコンイヤーピース(S、M、L)
・標準イヤーピース(S、M、L)

・ユーザーマニュアル

・ 証明書

・サービスカード



水月雨は音ももちろんのこと、化粧箱もとても美しい。
KATOから引き継がれるこの開封体験は、
高揚感と人によっては懐かしさを感じることだろう。


Litz構造の銀メッキ単結晶銅ケーブル (4.4mmバランス端子)が標準で付属。
加えて3.5mmへの変換ケーブルも同封されている。

 

KATOでは真鍮と鋼製で交換可能なノズルが付属していたが、
Kadenzでは、それぞれの外耳道に対応する長さの異なる3種類のノズルを用意。
自分の耳に最適なノズルを選び、理想的な音響バランスを得ることができる。


付属品最大の目玉として、DACを内蔵したType-C変換アダプターである、
ECHO-Bが付属している。
32bit/384kHzの高解像度PCM音源に対応しており、S/N比120dB、
ノイズフロア1.9uVrms、THD+N 0.003%という優れたスペックを備えている。
また、ECHO-BはMOONDROP Linkアプリに対応しており、
細かいEQ設定やオンラインで投稿されたEQ設定を利用可能である。

 

・外観

Kadenzは前世代のKATOとほぼ同じ外観だが、
音響内部構造を最適化・改良することでより優れた音響効果を実現した。
KATOマットスチールモデルと同じ、MIM製法(金属粉末射出成形法)を用いており、
KATO等の鏡面ステンレス仕上げが抱えていた指紋や傷の問題を解決し、
より高い強度を実現した。

 

・装着感
片側12gと非常に重い筐体であるが、適切なイヤーピースを使えば、
フィット感は良好である。
人によっては耳の形とシェルのゴツゴツとした部分が触れることもあるので、
一度試聴したほうが良い。

 

サウンド
なるほど。これが終章か...

どの帯域もバランスの良いニュートラル寄りの音色でありながら、
よりクリアでKXXSやKATOを踏襲したその音はまさしく"サウンド"である。
若干硬く、冷たいイメージを持つKadenzだが、
水月雨らしいサウンドはそのままに、よりダイナミックな表現が可能となった。
ボーカルはとても近く、新型ドライバーの恩恵により、
より繊細で空気感のあるサウンドを実現している。

低音域が強いわけでも、中音域が強いわけでも、高音域が強いわけでもなく、
あくまでも自然で、リアルなサウンドを表現できる、そんなイヤホンである。

 

・低音域
水月雨らしく低音域自体はそこまで強くはないが、
KATOと比べてよりスピード感がアップし、キレのある低音域を表現している。
ダイナミクスが向上し女性ボーカルだけではなく、
EDMやロックなど、より幅広い楽曲にも合うようになった。
量感は控えめながらぼやけることがなく、輪郭のはっきりした低音域だ。

・中音域
水月サウンドの権化。
ボーカルは適度に前に出て、自然で明瞭な存在感を持つ。
とてもクリアで楽器の輪郭がはっきりしており、
若干の温かみのある音色と、繊細なかつ情感豊かな中音域は、
声のざらつきや抑揚、余韻までリアルに感じられる。

・高音域

透明感と煌びやかさを持ちつつ、耳に刺さるような不快感がない、
非常にバランスの取れた高音域だ。
シンバルや弦楽器の細やかな余韻をしっかりと描き出し、
刺さりやすい帯域を巧みにコントロールされており、
長時間のリスニングでも耳に優しい音色を授けてくれる。


サウンドステージ

前世代のKATOと比べても広く、
左右だけでなく前後方向にも空間があるように感じる。
ライブ音源やクラシックではホールの響きや奥行きがリアルに再現されている。

 

・解像度
前世代のKATOと比べても明らかに向上している。
どの音域もクリアで輪郭がはっきりと表現され、
繊細な音までしっかりと聴き取ることが可能だ。

 

これらの要因から、Kadenzは前世代と比べてより進化し、
女性ボーカルだけではなく、
様々なジャンルを気持ちよく聴けるようなバランスの良いIEMだと感じた。
また、Kadenzさえ購入すれば付属品のDACアンプを用いて、
ノイズ感の少ない環境で音楽を楽しめるだろう。

 

・他機種との比較について

※全てKadenz付属ケーブル、清泉イヤーピースで統一

水月雨 KATO
KATOは水月雨と言えばこの機種と言われるほど有名なIEMである。
KATOはKadenzと比べて全体的に柔らかく、若干の温かみを感じる音色で、
甘い蜜のような女性ボーカルを聴かせてくれる。
KadenzはKATOにあるややボヤけた印象を払拭し、
シャープでタイトな方向性へ進化したが、
同時に万人受けしやすい音色となってしまった。
甘くとろけるようなボーカルは聴きたいのであればKATOのほうを推奨する。


水月雨 Starlight
Starlightは水月雨のStarfieldシリーズの日本限定製品であり、
チューニングや内部構造、付属品が豪華になったバージョンである。
価格帯が近い製品だがKadenzとはしっかりと差別化されている。
Kadenzと比べ
より低音域と高音域が強くなっており、
ドンシャリ感が強めとなっている
高音域は素晴らしいの一言で、Kadenzの繊細な高音域とは違い、
より激しくキラキラとした音色が特徴だ。
低音域はKadenzよりも量感があり、EDMや激しい楽曲にピッタリだ。

③水月雨 Aria2
水月雨のAriaシリーズの後継機種。
ミドルレンジの価格帯ながら手軽に水月サウンドを楽しめるのが特徴。
Kadenzとは約2倍の価格差があるが分離感、解像度等どれをとっても一歩及ばない印象だ。
Aria2はKadenzと似たバランスの良い音色が特徴だが、
それゆえに機種スペックの差が分かりやすい。
Aria2からのステップアップとしてKadenzは非常に良い選択肢だろう。

・不満点
特になし。

・結論

水月雨と言えばKanas、KXXS、KATOと言われるほど水月雨を象徴するKシリーズは、
昨今の水月雨としてのブランドの地位を確立したと言わざるを得ない。
そんなシリーズの最終章を飾るKadenzはKシリーズの集大成モデルであり、
音質・デザイン・付属品すべてに妥協がない。
水月雨らしい高解像度でクリアなサウンドを基本とし、繊細な中高音域の表現力と、
KATOよりも低音域の質感が向上したバランスの良い音色となり、
特定のジャンルに偏らず、幅広い音楽を楽しみたい方におすすめだ。

Kシリーズ、終章のその先へ、今後水月雨がどのような製品を発表するか楽しみだ。

それは本当に「2」の名に相応しいのか? 水月雨(MOONDROP) PARA2 - Review

水月雨(MOONDROP)楽園2-PARA2

ここでは自費で購入した水月雨(MOONDROP) Para2(以下Para2)をレビューします。
初代Para、水月雨のフラグシップモデルである、COSMOとの比較を含めます。
良ければ最後まで見てみてください。

【環境】
DAC:Meishun Audio(美顺音响)DAC320
AMP:Leaf audio(叶音)PA-05 20W/32Ω


画像

・製品について
Para2は タオバオにて2499元(約5万円前後)で販売されている平面駆動型ヘッドホンである。
水月雨 Paraの後継機種であり、水月雨から発表された4番目の平面駆動ヘッドホンである。
水月雨の社長曰く、Para2は相当の自信作とのことだ。

  • 感度: 106dB/Vrms(@1Khz)

  •  インピーダンス: 9Ω(@1Khz)±15%

  • 周波数範囲: 20Hz-42kHz (IEC61094)

  • 有効周波数範囲: 20Hz-20kHz (IEC60318-4, -3dB) 
  • ケーブルプラグ: 4.4mm(3.5mm変換アダプター付)

  • 重量:514g

Para2は初代ParaやCOSMOと同じサイズの高弾性純銀駆動回路を備えた、
100㎜FDTドライバー搭載の平面駆動ヘッドホンである。

従来の平面駆動ヘッドホンとは異なり、FDT全面駆動技術を採用している。
これは、振動板全面の振動部分を均一な平面磁場の中に配置し、
有効駆動回路を振動面全体に敷き詰めることで、
有効電流駆動領域が約95.5%と高くなる。
このため静電型ヘッドホンに匹敵する振動板への均一な応力をもたらし、
分割振動を排除しつつ、従来の平面磁界型ヘッドホンをはるかに超える高音域表現を実現できる。

Para2は、36個のN55ネオジム磁石を採用し、
振動板の振動面全体を覆う平面磁場を形成しており、
FEA有限要素シミュレーションによる最適化を経て、
十分に高い透過率を確保しつつ、振動板振動面の磁場の均一かつ効率的な分布を実現している。

Para2は、全く新しい1.2µmの超薄型振動板を採用しており、
初代Paraと比較して厚さが76%減少したことで、より優れたディテール表現、
より速い応答速度、そしてより優れた低音の沈み込み効果をもたらす。

Para2は、前世代の二次元トポロジー構造に基づいた高弾性純銀駆動回路を継承し、
純銀駆動回路が振動板の表面張力に与える影響を大幅に低減、
分割振動をさらに減らし、振動板の柔軟性を向上させている。
「TBT振動板応力二次バランス技術 (Tension Balancing Tech)」と組み合わせることで、
表面張力の二次バランス処理を行い、振動板応力の均一性を大幅に向上させ、
大音量時でも非常に低い歪みを維持し、
ハイエンド機器の駆動下で信じられないほどの潜在能力を発揮することが可能。

Para2には、高品質な6N純度単結晶銅を使用した、
4芯フラットケーブル式の4.4mmバランスケーブルが標準で付属しており、
干渉を低減する平行配置構造を採用することで、信号伝送品質を確保している。

イヤーパッドには羊革を採用しており、柔らかな肌触りで快適な装着感を提供し、
経年劣化やひび割れがしにくい特徴がある。

Para2は、全く新しいステンレス鍛造研磨プロセスを採用することで、
バウハウス様式のシンプルなラインと実用主義を完璧に融合させ、
現代性と高級感を兼ね備えた外観デザインを創り出している。


・付属品

・本体
・ユニバーサルデュアル3.5mm 4.4バランスフラットケーブル
・4.4mm⇒3.5mm変換アダプター
・専用ヘッドホンケース
・ユーザーマニュアル
・サービスカード

ケーブルはフラット式で6N純度単結晶銅採用の4.4バランスケーブルとなる。
しなやかで絡まりにくく、非常に扱いやすいケーブルで、
3.5mmへの変換アダプターも付属している。

初代Paraのイヤーパッドは2種類あったが、Para2では1種類のみとなる。
COSMOと同様のイヤーパッドだが、個人的に交換は必要ないと思えるほど、
Para2のチューニングにベストマッチしている。
従来の水月雨の平面駆動ヘッドホンと同様に金属プレートにイヤーパッドを付け、
磁力で取り付けるタイプなので非常にイヤーパッド交換は簡単。

 

・外観

初代Paraと違い、ステンレス鍛造を採用しているため高級感が増している。
また、剛性も上がっており、頑丈なつくりに進化している。

ヘッドバンドの調整については、左右にある黒いノッチを上下させる。
ただし、最小値でもだいぶ大きく、最大値まで上げることはおそらくないだろう。


・装着感
初代Paraより若干重量が軽くなったが、
約500gと重量級ヘッドホンであることには変わらない。

また装着感もほぼ変わってないため、
初代Paraの装着感が苦手の人には合わないだろう。

サウンド
どうせ微調整レベルだろと思ったら全くの別物だった

Para2が登場した際、どうせ若干調整したレベルだろと思ってしまったが、
良い意味で裏切られた。
初代Paraの特徴であった中音域は若干抑えられているが、キャラの一部である、
明るい音色はそのまま継承している。というか、もっと明るくなっている。
初代Paraは良くも悪くも無機質なヘッドホンであったが、
Para2ではより音に厚みが増し、空間が広く、よりクリアになっている。
また、鮮やかな高域はVenusに近く、
Para2はVenusと初代Paraを融合させた機種かもしれない。
画像

 

・低音域

初代Paraと比べてもより深く、美しく響く。
その低音は驚くほど心地よく、豊かで強すぎず、弱すぎず丁度良い低音域に仕上がっている。

・中音域

水月雨らしい優しい音色が特徴。
初代Paraと比べると若干弱くなっているが、それでもボーカルが前に出ている。
より透明感があり、繊細さを感じながらも、初代で目立った歯擦音が軽減されている。

・高音域

この部分はまさしくVenusのキャラを一部引き継いでいると感じ、
若干ではあるが、金属的な響きも感じる。
とても鮮やかな高音域で、少し前の水月雨らしい音色を感じる。
弦楽器の響き方がParaよりも良く、非常に聴き心地が良い。


サウンドステージ

初代Paraよりも若干広がりを感じるが、広すぎるというわけではない。
元々水月雨自体がそこまでサウンドステージを広く取る製品ではなく、
あくまでも自然な範囲でとどめている。
ここを重視する人はHiFiMAN等の別製品を検討するべき。

・解像度

初代Para自体がかなりクリアな機種だったが、Para2でよりリアルでクリアになった。
中音域が抑えられているのにここまでクリアに表現できるのは、流石としか言えない。

 

・他機種との比較について

水月雨 Para
初代Paraで、非常にクリアな中高音域が特徴的だが、
Para2は若干中音域を落とした代わりに高音域を強めにしたと感じる。
また、低音域が強化されたことにより音に厚みが増し、
より臨場感のあるサウンドとなったが、
基本的には初代Paraのキャラクターを継承している。
筐体もステンレス製へ変更され、全体的な高級感も向上した。
総じてPara2の名に恥じない出来となっている、

水月雨 COSMO
水月雨のフラグシップ平面駆動ヘッドホンである。
元々COSMOと初代Paraはキャラクターが違い、
COSMOはより自然なボーカルを重視しているが、Paraはポップな楽曲をメインターゲットとしていた。
Para2も変わらず、COSMOと比較してボーカルは一歩及ばないが、
COSMOにはない、クリアでキラキラとしたサウンドはPara2の強みだ。

・不満点

改善したとはいえやっぱり。。。
初代Paraから改善されたが、やはり9Ωという非常に低いインピーダンスを要求するため、
据え置きアンプを用いて聴くのを推奨する。
確かに鳴らしやすくなっており、小型なスティックDACでも音は鳴らせるが、
据え置きアンプで聴いた方がより良い体験を得られるだろう。

 

・結論

約5万円前後価格帯だが、その実力は侮れない。
初代Paraと比較して、非常にバランスが良くなっており、
よりリスニングに適した機種である。
 また、COSMOと比較しても一部分では、COSMOを上回っていると感じることもあり、
様々なジャンルを聴くユーザーはPara2を選ぶべきだろう。
ニュートラルな音色、優れた空間表現、豊かなディテール、
重厚でしっかりとしたサウンドは素晴らしいリスニング体験を得られるだろう。
昔ながらの水月サウンドが好きな人、J-POPをよく聴く人は一聴してみてほしい。

水月雨(MOONDROP)が本気で作ったエントリーモデルの開放型ダイナミックヘッドホン Horizon - Review

水月雨(MOONDROP)水平線-Horizon

ここでは自費で購入した水月雨(MOONDROP) Horizon(以下Horizon)をレビューします。
同価格帯のAKG K701水月雨 VOID、上位のFocal Elexと水月雨 Paraとの比較を含めます。
良ければ最後まで見てみてください。

【環境】
DAC:Meishun Audio(美顺音响)DAC320
Amp:Leaf audio(叶音)PA-05 20W/32Ω
画像

・製品について
Horizonは タオバオにて999元(約2万円前後)で販売されている開放型ダイナミックヘッドホンである。
水月雨 VOIDの後継機種であり、同社の開放型ヘッドホンの中ではエントリーモデルとなる。

  • 感度: 109dB /Vrms(@1Khz)

  •  インピーダンス: 32Ω(@1Khz)

  • 周波数範囲: 20Hz–34kHz(IEC61094)

  • 有効周波数範囲: 20Hz–20kHz(IEC60318-4、-3dB)
  • ケーブルプラグ: 4.4mm↔3.5mm交換式

  • 重量:355g

Horizonは50mm UHEダイナミックドライバーユニットを備えたダイナミックヘッドホンである。
このユニットは2年間の綿密な研究開発と最適化を経て、
前世代製品と比較してダイナミックレンジが大幅に向上し、歪みが大幅に低減されている。
N55ネオジム磁石を2セット採用しており、
高度な磁気回路最適化設計によって磁気ギャップの磁束密度を最大1.85Tにまで高め、
さらに磁気ギャップ全体にわたる均一性を確保している。
また、ユニットにはチタンメッキPENドーム+二層液体シリコンサスペンションエッジ振動板を採用。
PEN材料は、伝統的なダイナミックドライバーユニットでよく使われる材料で、
ドームとして優れた剛性と良好なダンピング特性を持ち、チタンメッキ加工によって表面音速を向上させることで、分割振動をさらに低減可能。
液体シリコンサスペンションエッジは従来の工法とは異なり、
高精度な金型を用いて直接射出成形することでしか製造できない極薄材料で、
通常のサスペンションエッジに比べ、大振幅下での信頼性が高く、
二層複合加工により、その支持性とダンピング特性をさらに強化できる。

より開放的な音場と完全な耳介カップリングを得て、各リスナーの実際の聴感に自然に近づけるため、
Horizonは全く新しい設計の大角度傾斜配置構造を採用している。
ユニットから放射される音波は斜め前方からより完全な伝播経路を通り、
これには耳介カップリングが含まれるだけでなく、
高透過性構造を介して実現される他の角度への自然な拡散も含まれる。

HorizonはVDSFに準拠した周波数応答特性を備えており、
新設計の50mm UHEダイナミックドライバーユニットの恩恵を受け、自由音場foが80Hzと低く、
開放型ダイナミックヘッドホンとしては珍しい超低音の沈み込みと、
滑らかな高音応答を兼ね備え、力強くしっかりとしたダイナミクスと、
ゆったりとして聴き疲れしない音色を両立させている。
これにより、Horizonは従来のダイナミックヘッドホンよりも広々とした音場と、
より自然な聴感に近い音色を表現することができる。


・付属品
・本体
・ユニバーサルデュアル3.5mm 4.4バランス↔3.5㎜アンバランス交換布巻ケーブル
・ユーザーマニュアル
・サービスカード
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ケーブルは布巻で4.4バランス↔3.5㎜アンバランスをプラグ先端で交換可能な方式。

 

・外観

Horizonは今までの水月雨のヘッドホンの中だとかなり異質である。
フレームはParaやCOSMO等に似ているがより薄く、とてもしなやかである。
フレーム、ハウジングともに金属製でブラックで塗装されており、非常に高級感がある。

ヘッドバンドの調整はPara等と同じく左右にある黒いノッチを上下させる。
最小値でもまあまあ大きく、頭が小さい人にとっては厳しいかもしれない。

Horizonの特徴の一つに、イヤーパッドの交換が容易に行えるように工夫がされている。
イヤーパッドを装着している金具はPara等と同じく磁力で接着されており、
イヤーパッド部分を持ち、そのまま引きはがせば金具を取り外せる。
そしてこの金具に対してイヤーパッドを装着するだけなので、とても簡単だ。
(ParaやCOSMOに比べて磁力が弱いため思わぬところで取れる可能性有)


・装着感
重量は355gと平均値ぐらいだが、側圧が非常に弱い。
海外レビュアーの測定によると、ATH-R70xaよりも弱い。
そのためか、装着感は非常に良好でストレスのなく音楽を聴くことが可能。

サウンド
かわいい系だと思ったらキャラが全然違った件について。

水月雨ヘッドホンとしては全体的に暗いイメージで、
非常に暖かみのある音色である。
バランスの良いチューニングで聴き疲れが少なく、非常にリラックスできるサウンドである。
近いものだと同社のヘッドホン群ではなく、ゼンハイザーHD650や490Proと同じ傾向で、
ダイナミックなサウンドかつ、音場の広さと高音域の表現力が特徴的である。

 

・低音域
水月雨といえば低音域がないと言われることがあるが、
Horizonについては全く違う。
ダイナミックヘッドホンらしい非常にパンチのある低音域が特徴で、
量感、厚みを感じられる。
非常に強いというわけではないが、必要十分な低音域で、
今までの水月雨のイメージとはかけ離れている。

・中音域
水月雨らしい優しい音色が特徴。
ParaやVOIDに比べてもさらに控えめで、ボーカルの刺さり具合が抑えられている。
非常に滑らかでゆったりとしたサウンドが特徴で、
女性ボーカルとの相性はとても良い。

・高音域

今までの水月雨ヘッドホンと比べると控えめではあるが、
非常に艶のある高音域は健在。
刺さりのある部分は非常に少なく、中音域と同様に滑らかな音色。
弦楽器の響き、広がりをしっかりと感じられる。

サウンドステージ

大角度傾斜配置構造により、同価格帯のダイナミックヘッドホンの中では非常に広いと感じる。
シミュレーションにより自然な広さを実現しており、楽曲によっての破綻も存在しない。

・解像度
ParaやCOSMO等の平面駆動ヘッドホンと比べると劣るが、
ダイナミックヘッドホンとしては非常にクリアで見通しの良いサウンドである。

イヤーパッドについて
純正イヤーパッドだと音場があまり広くないと感じたので、
Brainwavz Memory Foam Hybrid Earpads XL size
上記に変更するとかなり良いと感じた。
純正は中音域が抑制されているが、変更後は中音域が若干強調され、
よりバランスの良い音色になる。
(下記が純正イヤーパッド

 

・他機種との比較について

水月雨 VOID
Horizonの前身で、水月雨初の開放型ダイナミックヘッドホンである。
中高音域が特徴的だが、Horizonはより抑えられている印象であるが、
それ以上にダイナミックな低音域と音場が強化されている。
また、BQも向上しておりVOIDはおもちゃみたいな筐体だったが、
Horizonでは非常にがっしりとした、高級感のある筐体となっている。
比較して純粋な後継機として認めてよいだろう。

AKG K701
AKGの名機と言われるヘッドホンである。
Horizonと比べても非常にクリアでぬけの良いサウンドが特徴であるが、
低音域のインパクトに欠ける印象である。
また、Horizonのほうが音場が広く感じられた。

Focal Elex
FocalとDropのコラボヘッドホンである。
HorizonとElexは若干似ている部分が多く、Elexのほうが中高音域がクリアで、
前面から押し出してくるようなサウンドが印象的。
Horizonは低音域の再現性と、全体的に押し出してくる(包み込むような)サウンドである。
音場はHorzionのほうが上と感じた。

水月雨 Para
水月雨のエントリークラスの平面駆動ヘッドホンである。
非常にクリアで中音域が強調され明るい音色が特徴である。
HorizonはParaとは正反対の音色でより暗く、ダイナミックなサウンドである。
一概にHorizonが下位機種とは思えず、人によってはHorizonのほうが好きな人は多いと思う。

・不満点
意外と鳴らしにくい
本国のレビューでも触れられていたが、やはり据え置きアンプで聴くことを推奨している。
ParaやCOSMOみたいな鳴らしにくさではないが、
確かにポータブルで聴くと低音域のインパクトが若干薄れるように感じた。
ここは個人差があるので実際に聴いてみよう。
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・結論

約1000元という価格からは想像できないほど完成度の高いヘッドホンである。
全体的に暗い印象はあるが、従来の水月雨ヘッドホンと比べて、
よりインパクトのあるサウンドと、装着感の良さが取り柄だろうか。
日本ではおよそ2.5万円前後と予想しているが、3万以下のダイナミックヘッドホンとして非常に有用な選択肢となるだろう。
また、イヤーパッドの交換のしやすさも水月雨ならではの工夫であり、
簡単にアップグレードやチューニングできるのが特徴的。
総合的に見て、価格帯から考えれば非常に優秀なヘッドホンだと感じた。

ヘッドホンアンプの新たなる選択肢 Leaf Audio(叶音) PA-05 review

Leaf Audio(叶音) PA-05

ここでは自費で購入したLeaf Audio PA-05(以下PA-05)をレビューします。
現在のDACとして利用中のHiFiMAN EF600と、
過去所持していたLUXMAN P-750uと比較します。
良ければ最後まで見てみてください。

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・製品について
※長いので感想だけ見たい人は飛ばしてください

PA-05はタオバオにて2150元(約4.3万円前後)で販売されているクラスAヘッドホンアンプである。
LeafAudioは比較的小規模な企業でありながら、Apx555等のテスター機器を備えており、
様々なDACやアンプ製品を展開している企業である。
今回は同社のフラグシップヘッドホンアンプであるPA-05の魅力を伝えていこうと思う。
なお、複数のグレードがあるが、通常は220Vの10W/32Ωバージョンであり、
私が購入したものは110V、シルバー筐体の20W/32Ωバージョン(2800元)である。

それぞれのグレードの違いは公式サイトに記載されてるがそれを日本語へ翻訳したものが以下である。

PA-05 モデル選択ガイド

モデル 音の傾向 出力 対応インピーダンス 対応感度
標準版(出力10W×2) ニュートラルな音質でスピード感が適度、オールラウンド対応 10W×2 16~1000Ω 100dB以上
アップグレード版(出力20W×2) ボーカルが聴きやすくやや温かみがあり、Sennheiser HD600/800シリーズに最適 20W×2 8~1000Ω 85dB以上
24段階音量調整付きアップグレード版(出力20W×2) アップグレード版に比べ解像度がわずかに向上、小音量での左右バランスの偏りが無い 20W×2 150~1000Ω 85dB以上
Mundorfコンデンサ版(出力10W×2) 解像度・素質・密度に優れる 10W×2 16~1000Ω 100dB以上
24段階音量調整付きMundorfコンデンサ版(出力10W×2) 小音量での左右バランスの偏りが無く、解像力がさらに向上 10W×2 150~1000Ω 100dB以上

アップグレード版(20W/32Ω)

輸入トランスを80Wに大型化(シールドカバー非装着・サイズオーバーのため)
整流ブリッジに日本製10A規格を採用
電源調整管を10A仕様に変更
パワー増幅部に大電流10Aトランジスタを採用 → 音質がより重厚で聴きやすく、
出力インピーダンスさらに低下
出力パワー向上(20W/32Ω)
コンデンサはELNAオーディオ専用SPEC採用 → 解像度と音の滑らかさ向上
低阻抗・低感度ヘッドホン(HE6se等)に最適化
ユーザー評価ではHD600/800シリーズとの相性が特に良好

価格:2,800元

 

Mundorf AG mCap版

標準版ベースにMundorf AG電解コンデンサパナソニックAMブルー電解コンデンサを採用
解像力に優れ、透明感のある繊細な音質
出力10W×2(感度100dB以上の平面型ヘッドホンに最適)

価格:2,900元

(※両バージョンとも保護回路・筐体仕様等の基本設計は共通)


技術仕様

  • 外形寸法:360×240×55mm(突出部除く)
  • 梱包重量:5.2kg
  • ヘッドホン出力(10W×2バージョン)
  • 6.35mm端子:2.5W/32Ω、0.75W/300Ω
  • 4.4mmバランス端子:10W/32Ω、3W/300Ω
  • XLRバランス端子:10W/32Ω、3W/300Ω
  • S/N比
    プリアンプ出力:RCA -110dB、XLR -111dB @2V
    ヘッドホン出力:6.35mm -105dB、XLR:-108dB @0.5W
  • 歪み率:
    プリアンプ出力:0.0002%(RCA&XLR)
    ヘッドホン出力:0.0004% @7W
  • 最大出力電圧(歪み<1%時):
    バランス:33V RMS(93V P-P)/ch
    シングルエンド:16.5V RMS(46V P-P)/ch
  • 周波数応答範囲:8Hz-100kHz
  • 動作電圧:110V/220V
  • 静的消費電力:23W、最大消費電力:85W

※20W版での16Ω時と300Ω時の出力はそれぞれ16Ω/20W、300Ω/3Wらしい

 

PA-05は純正輸入高品質トランス、バランス4chアンプ回路、
合計12組のフルディスクリート構成の東芝製JFET入力増幅モジュールを搭載しており、優れた直線性と高出力を実現している。
本機の信号増幅部にはオペアンプは一切使用しておらず、
ヘッドホンアンプ部にはプリアンプ回路をバッファとして搭載しており、
透明感と音場を向上させている。
標準装備として日本製ALPSブルーシェル4連バランスポテンショメータを使用。
プリアンプRCAおよびXLR出力対応。
RCAおよびXLRの入力をサポート(RCA入力はディスクリート回路でバランス信号に変換)。
高・低の2段階ゲイン切替(18dBおよび12dB)。
ヘッドホン出力は3種類:4.4mm、6.35mm、XLR4ピン。
4層基板設計により、低ノイズ・低歪みを実現。
寸法:幅360mm × 奥行240mm × 高さ55mm、精密加工のフルアルミ筐体。
バランス出力端子の最大出力電圧は歪みなしで33V RMS(93V P-P)に達し、
1〜2kΩの高インピーダンスヘッドホンに最適。
出力インピーダンスは0.5Ω。
多数のハイエンドコンポーネントを採用、RCA端子は純銅+24Kメッキ仕様。
出力端子にはゼロポテンシャル調整回路があり、常に出力DC電圧を1mV未満に抑制。
ヘッドホン接続時の不快な「カチッ」という音を防ぎ、
繊細な平面駆動型ヘッドホンをしっかり保護し、
過電流保護、出力DC検知、遅延出力保護を備えている。
動作電圧は±24〜28Vと、一般的な±15〜18Vよりも高く、
ダイナミックレンジが広く出力も強力。
出力段には中出力トランジスタを8個搭載し、
ミリワット級のヘッドホンに対して十分な出力電流を供給する。



・付属品
・本体
電源ケーブル(Oタイプ)

付属の電源ケーブルはOタイプであるため、
変換アダプタを用いるか別途電源ケーブルを用意したほうが良い。
商品は注文から1週間ほどで到着し、梱包は非常に頑丈であった。
(段ボールが2重で、アンプ自体は全体がクッション材に包まれていた)

・外観
アルミ筐体ということで全体的な品質はそこそこ高い
天板部分はネジ止めがむき出しだが、それぐらいしか気になる点はない
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サウンドインプレッション
前述のとおりDAC部分はHiFiMAN EF600のR2Rを、
ヘッドホンはMOONDROP COSMO、XK-Audio Serene、Focal Elexを用いた。

PA-05はクラスAヘッドホンアンプの特徴である、非常に滑らかかつ、
自然で煌びやかな音色が特徴であり、20Wという大出力であるが、
その音は繊細さとダイナミクスを両立しており、
主に中高音域にフォーカスされたチューニングであると感じた。

非常に空気感があるが、同時に深みのあるサウンド
どちらかというとアナログアンプの音に近く、
豊かさと重厚感を重視しながら、フラットな音色よりではなく、
自然で濃厚なサウンドを感じられる。

手持ちの機種の中でトップクラスに鳴らしにくいXK-Audio Serene(45Ω、85dB /mW)もローゲインで十分に駆動でき、
ハイゲインにすると低音域のパンチがより強化されると感じた。

 

・IEMについて
ここまで高出力だとIEMの利用が気になるところだが、
手持ちで一番ホワイトノイズが乗りやすい、
MOONDROP Starlightをバランス接続した。
ハイゲインでは音量0の状態でもホワイトノイズが発生するが、
ローゲインであればほぼ無音だ。

この大出力のアンプからは考えられないほどノイズフロアが優れており、
IEMメインのユーザーでも問題なく利用ができる。
基本的にはローゲインで用いればIEMも問題なく利用できるはずだ。
(CA Andromeda等の高感度IEMは利用したことがないのであしからず)

 

・ヘッドホンごとの比較
COSMOは15Ω、100dB/Vrmsのヘッドホンであり、TechPowerUp曰く電流量だけでいえばSUSVARAと同クラスらしいが、ハイゲインだと10時手前で十分な音量が取れる。
また、ローゲインでも11時前後で十分であり非常に優れたパフォーマンスを発揮する。

Sereneだとハイゲイン11時手前、ローゲイン12時手前ぐらいで十分であり、
どちらも広がりとダイナミクスが強調され、レスポンスの良いサウンドである。
平面駆動の特徴である高い解像度と透き通るような高音域を強調させるが、
中音域の繊細な音が崩れることはなく、甘く自然な音色を生み出す。

Elex(80Ω、104dB/mw)だとローゲイン10時手前、ハイゲイン9時で十分な音量が取れる。
Elex特有の包み込まれるような低音域は健在で、Focalチューニングがより強調される。

どのヘッドホンも優れたパフォーマンスを発揮できると感じる。
また、アンバランス接続でも確認したが、バランス端子同様の音色を出しているため、
アンバランスとバランスで音質の差はないと感じる。

 

・他機種との比較について

HiFiMAN EF600

HiFiMANのDACとアンプが複合された機種である。
R2R特有の温かい音色と5120mW/32Ωから出されるエネルギッシュな音が特徴である。
HiFiMANヘッドホンや平面駆動ヘッドホンとの相性がとてもよく、
中音域にフォーカスされた音色は女性ボーカルとの相性が良い。

Sereneを接続した際、EF600では12時を超えたあたりからボリュームが上がらず、限界を感じたが、
PA-05ではノブを回せば際限なくボリュームが上がっていき、出力で格の違いが見受けられる。

PA-05のほうがよりエネルギッシュであり、R2R特有の温かみも感じるが、
その中に中高音域が強調され、より繊細な音色である。
また空間表現がEF600よりも優れており、奥行きも感じる。

総じてEF600のアンプ部と比べてもよりボーカルに特化したサウンドであると感じた。

LUXMAN P-750u

過去所持していたアンプであり、こちらもEF600をDACにして出力していた。
P-750uの特徴は何といっても中高音域の煌びやかさであり、
キラキラとしたサウンドの中にどこか温かみを感じる優しい音色が特徴である。

PA-05が届いたときに一番近い音がこのP-750uと感じた。
エネルギッシュで、キラキラとした温かみのあるサウンド、広々としたステージングなど共通点が多い。

P-750uではIEMを利用した際に煩わしいレベルでのホワイトノイズが発生し、
とてもじゃないがバランス接続ではIEMは聴けないレベルだったが、
PA-05はバランス接続でもホワイトノイズはほぼ発生せず、気持ちよくIEMも利用できる。

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・不満点
なし


・結論
およそ4~6万円の価格帯となるが、その完成度は非常に高い。
価格からは考えられないほど非常に優れたアンプであり、
若干の温かみを感じるが、それ以上に中高音域の伸びやかさと、
高音域のキラキラとしたサウンドが特徴。
20W/32Ωという非常に強力な出力から、駆動の難しいヘッドホンに向けたアンプである。
また、今回は利用してないがプリアンプ機能も付いている。

タオバオ利用に抵抗がない、人とは違うものが欲しい、LUXMANサウンドを安く手に入れたい人には非常にお勧めできるアンプだ。

 

大陸の物理学者が生み出したDIYヘッドホン XK-Audio Serene  幽韵 review

XK-Audio Serene  幽韵

ここでは自費で購入したXK-Audio Serene(以下Serene)をレビューします。
同価格帯の水月雨COSMOとの比較を含めます。
良ければ最後まで見てみてください。

【環境】
DAC:HiFiMAN EF600
Amp:Leaf Audio PA-05 20W/32Ω
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・製品について
Sereneはタオバオにて6999元(約14万円前後)で販売されている平面駆動ヘッドホンである。
DIYヘッドホンという珍しい機種であり、HiFiMAN SUSVARAをターゲットとした製品である。

  • 感度: 85dB /mW

  •  インピーダンス: 45Ω

  • 周波数範囲: 5 Hz–80kHz

  • ケーブルプラグ: 4ピンXLR

  • 重量:530g

Sereneは水月雨のCOSMOと同様に有限要素シミュレーションで設計された、110mmのDIYヘッドホン。
磁気回路設計部分にはANSYSを、音響設計部分にはCOMSOLというシミュレーションを利用してるいる。
金箔貼付プロセスを採用し、振動板、接着剤、金箔などの主要材料部品については厚み、ヤング率、ポアソン比などの主要物理量を求めており、
振動板には米国製0.4μm PETポリマー振動板、
接着剤には国産低ポアソン比永久接着剤、
金箔にはドイツ製0.1μm純度99.99%以上の24K純金金箔を使用している。


・付属品
・付属イヤーパッド
・二重シールド単結晶銅miniXLRヘッドホンケーブル

布巻ケーブルであり、非常に取り回しが良い
miniXLRケーブルのため勝手にヘッドホンから抜けるということはない。

・外観
マットブラックに加工された筐体は金属製であり、非常に剛性が高い。
金振動版がそのまま映し出されるハウジングは非常に綺麗である。
全体的に無骨なデザインであり、決してデザインが良いとは言えないが、
このようなデザインが好きな人なら合うと思う。

サウンド
一聴して分かることは圧倒的な抜けの良さだ。
ここまで音抜けの良いヘッドホンはかなり珍しいと感じる。
開放型でもハウジング保護部分で音の反響が目立つ製品はいくつかあるが、
Sereneはハウジングあるかどうかレベルで音抜けが良い
音抜けの良さからか、解像度が非常に高く、楽器類の音が良く聴こえる。
平面駆動ヘッドホンらしく、低音域から中音域はフラットであるが、
若干高音域部分が強調されている。
全体的なチューニングは非常によくまとめられており、
特徴的な音色ではないが自然で美しい音色である。
総合的に非常良くまとまったヘッドホンであり、
本国ではSUSVARAクラスと評価される理由は聴けば分かるだろう。

・低音域
低音域は平面駆動ヘッドホンの中でも普通よりも若干強い程度。
特別強いわけでもなく、弱いわけでもない。
良く言えばバランスの良い低音域であるが、人によっては弱く感じるだろう。

・中音域
Sereneの特徴的な部分であり、若干強めだと感じる。
ただ、バランスは崩れておらず、ボーカルが前で感じられる。
非常にクリアで聴きやすい音色である

・高音域

Sereneの特徴的な部分であり、若干強めだと感じる。
特に超高音域部分が強めと感じ、弦楽器の響きが非常に良く、
滑らかで耳障りな音色ではなく、ゆったりとしたどこか暗い部分も感じる。

サウンドステージ

非常に広い空間表現だと感じる。
手持ちのヘッドホン群の中ではトップクラスである。

・解像度
Sereneの特徴的な部分である。
見た目からも想像がつく通り、非常に解像度が高い。
透き通るような音色の中から、楽器本来の音が聴こえてくる。
どんなものにも邪魔されないその音はSereneの強みである。
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・他機種との比較について

MOONDROP COSMO
同じイヤーパッドのCOSMOとSereneは非常に近しい音である。
Sereneのほうが超高音域部分が強めで、ほんの少し低音域が強い。
Sereneは全体的にダイナミックな音色であるが、
COSMOはより繊細で、ゆったりとした音色である。
解像度はほぼ同等だが、Sereneが上回っていると感じる。
どちらも優れたヘッドホンであるが、ここは好みで選ぶとよいだろう。

・不満点
1.筐体が。。。
筐体はCOSMOなどの主要メーカーと比べても非常にチープである。
高級感はハウジングから見える金振動版だけであり、
そのほかの部分はあまり期待しないほうが良い。

2.非常に鳴らしにくい
手持ちのヘッドホンの中ではトップで鳴らしにくく、
EF600ではSereneが12時、COSMOが10時半ぐらいで同音量になるほど差がある。
少なくともEF600では鳴らしきれていないと感じたが、
20W@32Ωのアンプを用いた際は完全に駆動できていると感じる。

3.イヤーパッドの交換の難しさ
とにかくイヤーパッドの交換が難しい。
ハウジング外側にあるネジを”緩める”とイヤーパッドの留め具が緩まり、
外れる方式なのだが、緩めたとしても留め具の間にイヤーパッドを入れていくので、非常に面倒くさい。
少なくともCOSMOみたいな金属板を磁力でつけ外しなんてことは出来ない。
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・結論

DIYヘッドホンという色物であるが、駆動問題さえクリアできれば、
価格からは考えられないほど非常に優れたサウンドであることには違いない。
平面駆動ヘッドホンの中でもダイナミクスに優れ、非常に有機的な音を出してくれる。
特に弦楽器との相性が良く、クラシック楽曲を聴くには非常に適している。
購入難易度は高いがぜひチャレンジしてみてほしい。

水月雨(MOONDROP)のXTMシリーズ第二弾 和鳴 -HARMON- Review

水月雨(MOONDROP) HARMON-和鳴

ここでは先日購入したHARMON-和鳴(以下HARMON) を紹介します。
Kadenz、METEOR、Blessing3と比較をします。
良ければ最後まで見てみてください。

【環境】
DAC:HiFiMAN EF600
Amp:Leaf Audio PA-05 LowGain
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・製品について
HARMONは水月雨から1499元で発売された3ダイナミックドライバーIEMである。
水月雨のXTMシリーズ第二弾であり、2023年ごろに既に特許を取得していた同軸型・4チャンバーを採用している3DDイヤホンである。

現在は タオバオのみからの取り扱いとなっている。
HARMONの特徴として、特許取得済の同軸4チャンバークロスオーバー設計なところである。
ガラスドーム複合振動版を採用しており、ミクロン単位の薄さから繊細な高域表現を実現している。

  • 感度: 114dB/Vrms (@1kHz)
  • インピーダンス: 19Ω±15% (@1kHz)
  • 周波数範囲: 10Hz-60kHz
  • ネクター: 0.78-2pin
  • THD+N: THD≤0.1% (@1kHz, 94dB)
  • ケーブルプラグ: 4.4mm/3.5mm
  • 重量:片側5.4g

HARMONは両側に10mm中高音域用ダイナミックドライバーと10mm水平対向2DD低域モジュールを搭載したイヤホンである。
10mm中高音域用ダイナミックドライバーにはN52ネオジム磁石2基と磁性体3枚を組み合わせた、「内外複合磁気回路」を採用している。
軽量OFCボイスコイルと組み合わせることで、高効率で低歪みのトランスデューサーシステムを構築し、振動版のポテンシャルを最大限引き出す。

10mm水平対向2DD低域モジュールは水月雨の代表的な「水平対向ダイナミック構造」を用いて、磁気回路の効率化、ダイナミックレンジを拡大し低歪みで力強い低音域を実現している。

和鳴は新しい特許技術に基づき、全帯域で一貫した位相特性を実現している。
マルチドライバー特有の帯域のつながり問題を徹底的に排除している。

本体は高精度のDLP 3Dプリント技術を用いて正確に作られており、3Dプリント業界で最高級なブランドであるHeyGearsと提携して、超高精度の3D印刷サービスを提供している。

Moondrop | 水月雨 (MOONDROP) (スイゲツアメ ムーンドロップ)

 

・付属品

1. 本体

2. HARMONオリジナルの4.4mm⇔3.5mm変換ケーブル

3. レザーケース

4. イヤーチップ(S、M、L)

5. ユーザーマニュアル

6. 証明書

7. サービスカード
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イヤーピースには通常の水月雨シリコンイヤーピースがS.M.L付属している。
個人的に水月雨のシリコンイヤーピースは見た目があまり好みではないため清泉で聴いている。
ケーブルはHARMONオリジナルケーブルが付属する。
本国の方曰くケーブルも含めて調整されているためリケーブルは推奨しないとのこと。

・外観
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Kadenzを彷彿させるその見た目はまるで石斧のようである。

METEORのように全体的に大きいわけではないが、本体の厚み自体はMETEORと同等レベル。
装着感は悪くないが、ノズルは長いため耳から飛び出すようなスタイルになる。


また、水月雨の製品の中ではトップクラスに軽量であり、長時間の装着も問題はない。
METEORと同様にシェルに光を当てるとうっすらと内部の機構が確認できる。
FPの部分は金属のように見えるが、実は樹脂製。

サウンド
音については、低音域を強調した水月サウンド

一聴して感じたのは違和感のなさ。
3DDであるが音のまとまりが良く、3DDの違和感が全くない。(1DDなのでは・・・)
1DD特有の伸びるような高音域がしっかりと表現されており、低音域をサポートする二つのDDによる力強さも感じる。
チューニング自体は若干低音域が強めな水月雨の音だと感じたが、
それよりも広がるのような音、空間の広さを感じた。
これはMETEORに匹敵するレベルであり、1DDのKadenzでは表現できないと感じる。
水月雨が別方向にシフトしていると感じたIEMである。
なお若干鳴らしにくく、METEORよりもボリュームを上げる必要がある。

・低音域
低音域は思っていた以上には強くなく、METEORのほうが恐らく強い。
しかしながらパンチ力というか力強さはHARMONのほうが強く感じる。
水月雨としては依然強めであるが、ボーカルが埋もれない絶妙な塩梅でチューニングされており、聴いていて非常に楽しい低音域である。

・中音域
METEORやKadenzと同等レベルの中音域であり、
とても滑らかで、水月雨らしい優しいボーカルが聴ける。
逆に言えば特徴的なピークなどはないため、
それらを求めるユーザーには向いていない。

・高音域

METEORやBlessing3みたいなキラキラサウンドではなく、
Kadenzみたいなお淑やかな高音域である。
やさしさを感じる高音域は、ぶん殴られてるような低音域の主張を弱め、
リラックスして聴けるような音色に一役買っている。
キラキラとしたサウンドを求める人には向かないだろう。

サウンドステージ

過去製品と比べても中々に広いと感じた。
METEORに匹敵する広さであるが、同様にごちゃつくようなことは全くなく、
ゆったりとした伸びやかな音が隅々まで響き渡る。

・解像度
非常に解像度が高く、METEORに匹敵するクリアさだと感じた。
1DDのKadenzに比べても圧倒的にクリアであり、輪郭がはっきりとわかる。

・他機種との比較について

※全てAria2ケーブル、清泉イヤーピースで統一

水月雨 Blessing3
Blessing3は水月雨らしい中高音域、解像度の高い音が特徴である。
しかしながらその音色はHARMONと比べて、人工的であり解像度の高さも無理やり上げている感が否めない。
ボーカルの近さは同等レベルだが、ボーカルの自然さはHARMONである。
Blessing3はFPSゲーマー御用達のIEMの一つであるが、HARMONも負けておらず、全帯域のバランスが優れており、FPSゲームに向いていると感じた。
キラキラサウンドや分離感を求める人はBlessing3を選ぶべきだと感じる。

水月雨 METEOR
METEORは水月雨らしからぬ低音域が特徴的だが、実は高音域がとても良く、
4プラナーの魅力をふんだんに生かしたIEMである。
ボーカルの近さはMETEORのほうが近く、よりボーカルを重視した音色である。
HARMONの倍の値段だが、やはり値段差があるというだけあって、基本的にMETEOR以上ということはない。
しかしながらMETEORのキラキラとしたサウンドが苦手ならHARMONは良い選択肢かと思う。

水月雨 Kadenz
水月雨のKシリーズの最終章であるKadenzは2.6万円という値段からは考えられない音と付属品の多さが特徴である。
1DDイヤホンであるが、Kシリーズの中では低音域を強くしており、全体的に明るくクリアな音色となった。
HARMONはその音色を継承しているが、よりクリアで、低音域を強化し、空間の広さが特徴的である。
個人的にはHARMONが一番似ているのはKadenzであり、兄弟機のようにも思える。
Kadenzの音が好きならHARMONは良い選択肢になりうるだろう。

・不満点
特になし。

・結論
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全体的に完成度が高く、社長自ら設計をしているだけある。
今までの水月サウンドから別方向へシフトしてきていると感じたが、
ボーカル重視の音は健在で、バランスの良い自然なチューニングで非常に聴きやすい。
特徴的な音色でもないが、水月雨が好きな人であれば刺さると思う。
本国では1499元、日本販売価格は予想では3万~4万ほどだと思う。
この価格帯は非常に競争力の高い部分であり、HARMONも例外ではない。
しかしながら、試聴機が出た際には一度は聴いてほしいサウンドであることでは違いない。